2022-01-01から1年間の記事一覧

エゴと世界、理不尽と願い――モナーク

www.monarkgame.com 霧の中の探索パートの謎解きや、プレイヤーに選択を提示する方式など、ゲーム全体を通してプレイヤー自身に考えさせることの多かった内容であったにも関わらず、本作の物語としてのテーマやメッセージはかなりわかりやすく提示されている…

世界の欺瞞を暴く――ハーヴェステラ

www.jp.square-enix.com 公式ページを開くと『ファンタジー×生活シミュレーションRPG』と掲げられているが、これは嘘である。なのでルーンファクトリーみたいなゲームだと思ってプレイすると狐につままれることになるだろう。ただ虚偽宣伝という訳ではなく*1…

二人の関係が暗示する未来――栞と嘘の季節/米澤穂信

栞と嘘の季節 (集英社文芸単行本) 作者:米澤穂信 集英社 Amazon 前作『本と鍵の季節』の時から『嘘』は通底したテーマではあったが、今作は特に嘘が多く、登場人物全員が何かしらの嘘を吐いている。ただその嘘の大半は「情報を持っているのに個人的な事情か…

何故彼らは死ななければならなかったのか――方舟/夕木春央

方舟 作者:夕木春央 講談社 Amazon 地震により扉が岩でふさがれ、山奥の地下建築に閉じ込められた主人公たち。加えて地盤から徐々に水が流れ込んできており、一週間もすれば水没してしまう。そんな矢先に、なんと殺人事件が発生する――。 いわゆる『極限状況…

9月にやった新作ゲーム

Splatoon3 VARIOUS DAYLIFE The DioField Chronicle 残月の鎖宮-Labyrinth of Zangetsu- Splatoon3 www.nintendo.co.jp 言わずと知れたインクで陣地の塗りあいをするTPS 初めてDirectで紹介されたときは、ゲームシステム的な部分に大きな変化があるわけでも…

風花雪月っぽいRTS――The DioField Chronicle

前置き 楽しみのない3Dマップの拠点パート 薄いストラテジー要素 展開に置き去りにされたキャラクター 総評 前置き www.jp.square-enix.com シミュレーションRPGパートと3Dマップでの拠点探索パートを交互に進めていく形式の、FEも新作が発表された時節にな…

それでも人間を肯定できるか――LIVE A LIVE

7つの編から自由に選んで進めるオムニバス形式で描かれるライブアライブの物語は、編ごとに時代も主人公も異なり、全くテイストの違う物語が展開される。加えてゲーム性も編ごとに全く異なり、一般的なRPGのように進む編もあれば、終始会話のみで進む編も存…

3年かけてドラゴンクエストビルダーズ2をクリアした

発売日に購入した『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』を先日ようやくクリアした。 2018年の12月20日に発売したこのゲームを3年越しにクリアしたわけではなく(サンドボックスゲームの特性上3年遊べるゲームではあるが)、3年前に途中…

迫りくる『恐怖』と『不和』から生き延びるサバイバルホラーADV――デジモンサヴァイブ

前置き 臨場感のあるADVパートの演出への拘り 丁寧に描かれるキャラクターの心情 難しくないSRPGパート 総評 前置き このゲームは『サバイバルホラーADV』であり、『デジモンのSRPG』として捉えるのは誤りである。 本作中において一度たりとも『デジモン』と…

ロールプレイする教祖――Cult of the Lamb

前置き ゲームシステムと噛み合った設定 両方の要素を遊ばせる導線 選択によるロールプレイ感の向上 総評 前置き 近年人気ジャンルになりつつある『ローグライト』の魅力はいくつかある。ステージや敵が毎回ランダムであり、リプレイ性が高い点。プレイヤー…

何故モンハンのストーリーに興味が持てないのか――モンスターハンターライズ サンブレイク

これはモンスターハンターライズのクエスト選択画面の2ページ目だが、この中の『依頼内容』の欄にそこそこの文字数を使って書かれているこのクエストの説明文を、ちゃんと読んだことのあるプレイヤーはどのくらいいるだろうか?私は一度も読んだことがない。…

上手ぶれる雷光速ヒロイックアクション――蒼き雷霆ガンヴォルト鎖環

前置き 2種類のルートが用意されたステージデザイン 雷霆煉鎖を使うルートに誘導させるレベルデザイン 上手なプレイをしていると思わせてくれる各種システム 総評 前置き 前作から6年ぶりのシリーズ最新作、『蒼き雷霆ガンヴォルト 鎖環』がいよいよ発売され…

インタラクティブなコンテンツとしてのCaligula2

Caligulaというゲームの面白さは、突き詰めると『貴方の秘密(トラウマ)を暴きたい』という欲求を満たしてくれるところにある。魅力的な世界観やキャラクター、楽曲のすべては、それらの欲求を刺激するための装置に過ぎないとさえ言っても過言ではない。 プ…

不快感を排除した先にあるモノ――ポケモンユナイト一周年

League of Legendsに代表されるMOBAというゲームジャンルに、ポケモンという子供向けIPを引っ提げて参入したポケモンユナイト。MOBAの抱える問題点(複雑な戦略性からくる求められる知識量の多さ/チームゲーム故の味方や敵との不和、煽り)は、ポケモンブラン…

二人の友情の行く末をどう読み解くか――本と鍵の季節/米澤穂信

僕はこの日曜日を、なんとか他愛ない一日に引き戻したかった。無邪気な先輩に誘われて友達と遊んだ一日にしたかったのだ。 米澤穂信.本と鍵の季節(集英社文庫)(p.44).株式会社集英社.Kindle版. 所謂『日常ミステリ』と呼ばれるジャンルは、一般的なマーダー…